透析に関わる全ての人に。透析のことを分かりやすく。

透析中の10%NaCl注射液投与の注意点

2018/01/05
 
透析中の10%NaCl注射液投与の注意点
この記事を書いている人 - WRITER -
Pocket

 

透析中に血圧下がった時によく

スタッフ「塩分の注射入れますね~」

とか

患者さんもたまに

患者「塩分の注射入れてください。」

という光景が見られます。

 

塩分の注射=10%Nacl注射液(20ml)です。

製造販売元:扶桑薬品工業株式会社

 

 

たった20ml入れただけで血圧上がるって都合が良すぎない?副作用とあるんじゃない?

と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

 

 

今回は透析中の10%NaCl注射液投与の注意点を、効果・問題点を踏まえたうえで自分なりに考察していきます。

 

 

<スポンサーリンク>

 

10%NaClの効果

 

透析後半や除水速度が速い・除水量が多いと、血圧が下がる。

 

10%NaCl注射液を20ml静注すると、

plasma refillingが加速し、細胞内や組織間から血中に水分が移動して血圧が上がります。(または血圧の維持)

 

水分量で言うと200mlぐらい血中に移動してきて、循環血液量が増加し、血圧が上がるという仕組みです。

 

血圧を維持することで、透析が持続でき、除水もできる。

 

透析中の急激な血圧低下は生命予後を悪くするという報告もあり、

できるだけ避けたいものです。

 

※10%NaCl注射液を投与しても血圧が上がりにくい人も中にはいます。個人差があります。

 

 

「Naは除水で除去される」

 

 

問題点に行く前に、これは是非覚えて欲しいです。

 

 

「Naは除水で除去される」です。

 

この事は恥ずかしながら最近知りました。

 

食事で塩分を摂取しても、Naの血漿浸透圧の働きで水分が移動し、血中Na濃度は一定に保たれる(ホメオスタシス)ので、考えてもみなかったんですよね。

 

 

Naが除水で除去される理由もまとめておきました。Twitterで質問もあったので。

 

「透析液と血中のNa濃度はほぼ一緒のため、拡散がほとんど起こらないため。」

 

↓ほぼ一緒です。

透析液のNa濃度 135~145 mEq/L

血中のNa濃度 140 mEq/L

 

 

拡散がほとんど起こらないので、

除水の原理である限外濾過で「水分とともにNaも除去されます。」

 

 

なので、除水0の場合、Naはほとんど除去されません(重要)

 

 

 

 

Naの除去を考えるときはどんなときか

 

そもそもNaは透析をしなくても、細胞内外で濃度差を保つ働き(血漿浸透圧)があるので除去という考え方は、通常いらないのです。

 

普通に透析をしていれば、Naの除去なん考えなくてもいいということ。

 

では、Naの除去を考えるときはどんなときか。

それは、「透析中10%NaCl注射液を投与したとき」です。

 

これは今回のタイトルにある問題点に直結することです。

 

10%NaClは20mlだとNaCl2g、つまり塩分が体内に2g入ることになります。

 

↑の効果にも書いたことと合わせると

10%NaClは20mlを静注すると

塩分2g+水分200mlくらい血中に入る(水分は細胞内や組織間液から)ことになります。

 

体内に溜まっている水分が血中に戻ってきて血圧を維持するのは確かにありがたいんですが、

体内に入ったNaClを除去しないとってなりますよね。

 

 

 

10%NaClの問題点

 

 

体内に入ったNaClはどうなると思いますか?

 

 

NaCl 2gが血中に入ると、

前述した濃度差を保つ働き(血漿浸透圧)で、

細胞内や組織間から血中に水分が移動(plasma refilling)してきて、血中のNa濃度を140 meq/Lぐらいに保とうとします。

 

???

 

入れたNaCl2gはどこ行ったんだ?ってなりますよね。

 

もちろん体内に残ります。

 

しかし10%NaCl注射液を静注した後も、

除水をしていたら、除水した分Naも除去できます。(Na除去量は除水量による)超重要

 

逆に、10%NaCl注射液を入れても、血圧が下がって除水を停止した、または透析を続けるのが困難となり、透析自体を終了した場合、、、

 

体内にNaClを2g残ったまま、透析を終える。

 

 

※もちろん除水量によってはNaCl2g除去できます。

 

 

 

その場合、透析を終えた時点でNaClが2g体内に残ることで、

口渇中枢を刺激し、飲水量が増え、体重増加に繋がる。

※口渇の程度は個人差があります。

 

これが一番の問題点だと思います。

 

 

10%NaClの注意点

 

問題点を挙げたところで終わりません。

 

効果・問題点を踏まえた上で注意して使うことが重要なのです。

 

一言でまとめると

「10%NaCl注射液は投与後も除水するという前提で使う」

 

※NaCl2gはどれくらい除水すればいいのとかは詳しくは分かりません。

ご了承ください。

 

 

血圧下がって除水できないようなら、

10%NaCl注射液はやめておいた方がいいと思います。

補液や生食の方がよっぽど効果があります。

 

 

 

 

 

個人的な意見・伝えたいこと

 

10%NaCl注射液は血圧維持、上昇作用があり、透析を続けるうえでは必要です。

 

実際、10%NaCl注射液をうまく使って、

透析を最後までやって、除水をしっかりしている患者さんもいます。

 

 

ここで、

僕が患者さん、医療スタッフに一番伝えたいことは、

「10%NaCl注射液は使う際は、効果も問題点も踏まえたうえで使って欲しい」

ということです。

 

 

 

まとめ

 

10%NaCl注射液

効果

plasma refillingが加速し、細胞内や組織間から血中に水分が移動して血圧が上がる

 

問題点

10%NaCl注射液投与後、除水せずに、透析を終えた場合、

除去し損ねたNaClが体内に残ることで、

口渇中枢を刺激し、飲水量が増え、体重増加に繋がる。

 

注意点

「10%NaCl注射液は投与後も除水するという前提で使う」

 

患者さん、医療スタッフへ伝えたいこと

「10%NaCl注射液は使う際は、効果も問題点も踏まえたうえで使って欲しい」

 

 

 

 

 

 

以上となります。

 

 

 

[参考サイト]

透析百科透析中の高張食塩水の投与と体重増加率

↑僕の記事よりもかなり詳しく載っているので、詳しく知りたい方は是非。

 

 

 

 

<スポンサーリンク>

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Copyright© CEさぼの備忘録 , 2017 All Rights Reserved.