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透析患者における運動療法の必要性・注意点

2018/01/05
 
透析患者における運動療法の必要性・注意点
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どうもさぼです。

 

 

先日、Twitterにて理学療法士さんからのリプで

「訪問リハビリ」をしている透析患者さんが最近多い

ということを教わりました。

 

看護学生時代に訪問看護は習って、実習も行ったこともありましたが、

「訪問リハビリ」という言葉までは知りませんでした。

 

外来透析しかやっていない僕の施設では

介護サービスを利用している方が多いというのが現状です。

 

今思うと、透析患者さんの在宅での生活までは全然知らないということを思い知り、

少し勉強してみました。

 

 

こんな人にオススメ

・在宅リハをやっている理学療法士の方

・訪問看護をしている看護師の方

・在宅透析を行っている臨床工学技士

・在宅透析に関わるスタッフ・家族

 

 

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透析患者における運動療法の必要性

 

参考文献1)より引用すると、運動療法の必要性が分かると思います。

 

日常生活における諸症状が改善し、ADLやQOLが改善するといわれています。さらに、心機能や換気機能、自律神経機能や末梢循環などの改善、冠危険因子の是正や生命予後の改善も認められており、運動療法の効果はあきらかです。

引用:松島哲哉.高齢透析患者の筋肉.参考文献1).29 より

 

個人的に、在宅で療養している患者さんにとっては

ADL低下予防が重要となると思います

ADLとはActivity of Daily Livingの略で、日本語だと「日常生活動作」といいます。

ADLにはどんなものが当てはまるのかというと、食事、入浴、排泄動作、移動など、日常生活に必要な動作すべてが当てはまります。

運動療法をすることによって、ADLに必要な筋力を維持できることが期待されます。

筋力を維持できるということは後で述べる転倒予防にも効果的です。

 

また、透析についてフォーカスすると

運動することで、末梢循環が良くなり、透析中の血圧低下予防にもなるとされています。

透析中の過度の血圧低下は予後を悪くするという研究もあるので、

運動することは透析を受ける患者さんにとってもいいことだ、ということが分かります。

最近では透析中にやる足の軽い運動を取り入れている施設もあるそうですね。

 

 

透析患者さんにも運動は必要だ。ということが分かったと思います。

運動はもちろん必要なのですが、注意点もあります。

注意点に行く前に特徴を見ていきましょう。

 

在宅サービスを受ける透析患者の特徴

 

まずは在宅サービスを受けている透析患者さんはどんな人か知る必要があります。

大きな特徴として2つあります。

 

1つは高齢者」ということです。

世間では高齢化、高齢化とうたわれていますが、透析患者さんも高齢化しています。

日本透析医学会ではほぼ毎年大規模な統計調査を行っており、HPに行けばPDFファイルですぐ見ることができます。

 

日本透析医学会ホームページ:図説 わが国の慢性透析医療の現況 -目次-

 

 

2015年の調査によると導入時平均年齢は男性が68.37歳、女性は70.95歳、全体の平均年齢は69.20歳だったと記載されています。

また、全体でも男女別でも去年より平均年齢が上がっていました。

 

実際、在宅サービスを受けている透析患者さんは「高齢者」の方が圧倒的に多いはずです。

 

2つ目は、当たり前かもしれませんが、「透析患者」であることです。

透析患者さんは、透析患者以外の患者さんとはかなり特徴が違います。

 

なので、高齢者の特徴+透析患者の特徴を合わせて理解する必要があります。

 

2つに分けて見ました。

①運動療法に関連する高齢者の特徴

・高齢化による身体機能の低下、主に筋力低下

・高齢化による関節痛

・高齢化による骨粗鬆症(女性の場合は更に骨粗鬆症が進行する)

 

②運動療法に関連する透析患者の特徴

・慢性腎臓病における骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)による骨粗鬆症の進行

・透析による長時間の安静+透析後に伴う倦怠感・疲労感からくる安静→活動量の低下→筋力の低下

・食事・水分制限による栄養状態低下→筋肉量の低下

・糖尿病性腎症、動脈硬化に伴う末梢動脈疾患(PAD)を持っているため、

傷が治りにくい+悪化が早いので最悪下肢の壊死となる場合がある。

 

共通する部分に赤字で色つけてみましたが、

在宅サービスを受ける透析患者の特徴は

骨が脆くなって骨折しやすい状態(骨粗鬆症)と、筋力、筋肉量の低下によって転倒しやすい状態であるということが分かります。

 

在宅で運動療法をするときの注意点

 

これは在宅で働いている方が一番詳しいと思いますが、あくまで病院で働いているCEの視点で見てくれたら幸いです。

まずは↑で前述した特徴に関するものですね。

 

①転倒に気を付ける

 

前述したように透析患者さんが転倒すると、骨粗鬆症のために骨折しやすいです。

軽く転んだだけで骨折することもあるそうです。

よって、転倒を未然に防ぐような取り組みが必要というのが分かります。

在宅では転倒しやすい場所・ものが数多くあるとされています。以下に示します。

 

転倒が起こりやすそうな場所

玄関、階段、浴室など

転倒を起こしやすいもの

カーペットのめくれ上がり、電源コードなど

 

転倒が起こりやすそうな場所には段差を少なくしたり、手すりなんかつけるのもいいと思います。

転倒を起こしやすいものはなるべく家に置かない、コード類はまとめるなどすればいいです。

 

また、転倒リスク検査をして、転倒のリスクを評価したうえでの運動をすればより良いと思います。

例を挙げると、転倒スコア(FRI)、TUGテスト、片足立ち時間、ファンクショナルリーチ、重心動揺計、足関節背屈角度...などです。

ここらへんは理学療法士の方に相談してみるといいと思います。

 

 

②骨折に気を付ける

 

骨折は、転倒によるものが圧倒的に多いので、転倒をいかに未然に防ぐ(↑)かが重要となってきます。

定期的に骨密度測定をし、骨折しやすい人を把握しておくのも大事だと思います。

また、血液検査でもALP(アルカリフォスファターゼ)、PTH(副甲状腺ホルモン)などの骨代謝マーカーをでも間接的に評価できると言われています。

 

③シャント血管の怪我(傷、打撲など)

 

これは透析患者さん特有の事です。

透析患者さんは、透析をするために腕の動脈と静脈をつなぎ合わせて血流量を増やし、シャント血管というものを作ります。

シャント血管に毎回2本の太めの針を刺して透析を行っています。

日常生活をしたり、運動をして、このシャント血管を傷つけたり、打撲してしまったりすると、血が出てきたり、腫れたことで血管を圧迫して血流を悪くしてしまう危険性があります。

場合によっては血が止まらなくなったりするので、かなり注意が必要です。

 

 

運動療法に関する覚えておきたい用語

 

運動療法を知るうえで知らない単語が何個か出てくると思います。

その中でも有名なものを紹介します。

 

①サルコペニア
「加齢に伴う筋力の低下減少」

 

②フレイル(frailty)
2014年日本老年医学会高齢者における筋力や活動性の低下状態」と呼ぶ。

フレイルの原因の1つとしてサルコペニアがあるという感じで覚えればいいと思います。

流れはサルコペニア→フレイル

また、同年齢の非透析患者よりもフレイルの比率が高いらしいです。

 

③ロコモティブシンドローム (参考文献1)P52より引用一部改変)
「運動器の障害により移動機能が低下した状態」

運動器:①体を支える骨②曲がることで衝撃を吸収する関節軟骨や椎間板③動かす・制動するなどの役割を持つ筋肉、末梢神経・腱・靭帯など。

移動機能が低下した状態:歩行や立つ・座るなどの機能が低下した状態。

ロコモティブシンドロームが進行すると要介護になるリスクが高まります。

 

一般の人でもできるロコモティブシンドロームの簡単な評価法「ロコモチェック

が参考文献1)でも紹介されていました。

簡単で、しかも無料なので是非やってみてはどうでしょうか。

 

 

まとめ

 

透析患者における運動療法の必要性

運動をすることはADL、QOL改善に有効。

末梢循環が良くなり、透析中の低血圧予防にもなる。

 

在宅サービスを受ける透析患者の特徴

①骨が脆くなって骨折しやすい状態(骨粗鬆症)

②筋力、筋肉量の低下によって転倒しやすい状態

 

在宅で運動療法をするときの注意点

①転倒に気を付ける

②骨折に気を付ける

③シャント血管の怪我(傷、打撲など)

 

運動療法に関する覚えておきたい用語

①サルコペニア:加齢に伴う筋力の低下減少

②フレイル(frailty):高齢者における筋力や活動性の低下状態

③ロコモティブシンドローム:運動器の障害により移動機能が低下した状態

 

 

 

最近になって更に高齢化が進み、通院が難しい患者さんが増えたことから、医療の場が病院中心から「在宅」の場にシフトしています。

 

そのあおりを受けて、将来的には在宅透析が今後さらに多くなっていくと思います。

 

在宅透析する場合、臨床工学技士が立ち会う場面も出てくると思うので、予習としてもいかがでしょうか?

 

 

 

 

参考文献

1)高橋妙子.高齢透析患者の転倒・骨折と誤嚥性肺炎.透析ケアVol.21 No.12.メディカ出版.2015.10-67

 

 

 

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