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ヘモダイアフィルターfineflux(FIX)シリーズの特徴と使用感

 
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どうもさぼ(@ce_sabo)です。

 

近年オンラインHDFが主流となってきて、当院でもその傾向にあります。

 

 

オンラインHDFに重要になってくるのがヘモダイアフィルターの選択ですね。

 

 

今回は、僕が好きなヘモダイアフィルター「fineflux(FIX)シリーズ」の紹介です。

 

少し前にNVFというヘモダイアフィルターも紹介しました。

是非ご覧ください。

生体適合性を追求したヘモダイアフィルターNVFとは

 

 

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fineflux(FIX)シリーズの特徴

 

fineflux(FIX)シリーズは他のヘモダイアフィルターにない3つの特徴があります。

 

・非対称構造膜に設計した新型ATAtm膜を採用

・ATAtm膜の蛋白質吸着の少ない特性により性能経時変化の少ない治療の実現

・中空糸膜に親水化剤PVPと環境ホルモンBPAを使用していない唯一のヘモダイアフィルタ

引用:参考文献1)

 

これらの特徴によってもたらせる効果について解説していこうと思います。

 

効果その1「蛋白付着量が低減」

 

引用:参考文献1)より

 

これは従来の均質構造であったCTA膜から非対称構造のATA膜になって、更に中空糸内表面が平滑になったためと考えられます。

↓の画像を見てもCTAよりATAの方が膜の粗さが抑えられていることがわかります。

 

引用:ファインフラックス®(FIX)製品紹介ページ.ニプロHP

 

また、ATA膜では、フィブリノーゲンの付着も低減するという報告もあります。

 

 

効果その2「経時性能劣化を抑制」

 

引用:参考文献1)より

 

縦軸が濾液蛋白濃度で、横軸が測定時間です。

PS系系膜が開始後急激に濾液蛋白濃度濃度が下がるのにたいして、FIXのATA膜では開始後少しは下がりますが、ほぼ濾液蛋白濃度が一定に保たれるということが分かります。

 

これは実際に患者さんに使った場合でも同じような傾向がみられ、MFXなどのPS系の膜では開始後1時間以内に急激に膜性能の劣化がみられます。

一方で、FIXは急激な膜性能低下を防ぎ、しかも蛋白漏出がほぼ一定に保たれるという報告があります。

 

以上より、この2つからもたされる最大な効果があります。

それは「TMPを低く維持することができる」ことです。

↓のグラフから分かるように、TMPの上昇が起こりやすい後希釈においてもCTA膜と比べると、ATA膜ではTMPの上昇が軽微であることが分かります。

色々な論文・文献を読みましたが、実際に患者さんのデータを用いた研究においても、PS系の膜よりATA膜の方がTMPを低く抑えることができるとの報告がありました。

 

 

 

この「TMPを低く維持することができる」は先程挙げた2つの効果、によってもたらせるものです。

オンラインHDFにおいてTMPの過度の上昇はAlb大量漏出を起こす危険性があるので、この「TMPを低く維持することができる」というのは、患者さん側やスタッフ側からしてもとても安全性に優れてるといえます。

 

 

生体適合性に優れている

 

前述したのは、主に膜の構造上、性質についての特徴です。

もう一つ大きな特徴としてはPVPとBPAフリー(含有されていない)のために生体適合性に優れていることが挙げられます。

 

なんでPVPやBPAが含まれていないと生体適合性がいいかというと、PVP・BPAについて知る必要があります。

 

PVPは親水化剤の1種で主にPS系の膜に含まれていて、PVPが血液と接触することで、白血球減少やアナフィラキシーショックなどの症状が出る場合があります。

PVPはフィルターのメーカーや膜種などによって含有量が様々のことと、最近ではPVPをより少なくして親水性を高めるような技術を使ってるものもあります。

NVFに使用されているNVポリマーもその1種と言えますね。

 

次に、BPAは代表的な内分泌攪乱物質の1つで、日本では製品によって基準があったり、ヒトに対する耐用1日摂取量が0.05mg/kg/dayなどと定められています。

しかし、

ダイアライザからのBPA溶出や血中濃度が長期的にどのように生体に影響を及ぼすかについては不明である。

引用:参考文献3)

とのことで、不明な点も多いのが現状です。

厚生労働省のHPにBPAについてのQ&Aがあったのでそちらも参考にしてください。

参考サイト:ビスフェノールAについてのQ&A

 

 

注意
PVP・BPAが含まれているフィルター=生体適合性が悪いということではなく、フィルターごとに含有量が異なり、それらの対する症状には個人差があります。メーカーはBPAを含まない膜の開発やPVPをなるべく溶出しない技術なども行っています。

 

「じゃあPVP・BPAを全くないFIXのようなフィルターだけを使えばいいじゃん」という方もいるかと思いますが、それは不可能です。

なぜなら、患者さんの中にはFIXのようなATA膜に対して、アレルギー様反応(PVPと同様に)を起こす方も中にはいるからです。

これはどの材質のフィルターについてもいえることなので、PVP・BPAフリーだからといって、一言で「生体適合性は良い」といって片付けることはできないというのが個人的な意見です。

 

 

ラインナップと目標性能イメージ

 

FIXは現在E<S<Uを取り揃えています。(右に行くほどポアサイズが大きい)

膜面積は1.1~3.0㎡です。(3.0はけっこう最近らしい)

 

性能のイメージマップはニプロHPに良いものがあったのでそのまま引用します。

ニプロから出ているPS系ヘモダイアフィルターのMFXシリーズとの比較があるので大変便利です。

条件等はニプロのHPにて確認お願いします。

 

(左)前希釈血液透析濾過(36L/4hr)実施時の目標性能イメージアップ

 (右)後希釈血液透析濾過(10.8L/4hr)実施時の目標性能イメージアップ  

引用:ファインフラックス®(FIX)製品紹介ページ.ニプロHP

 

Uシリーズは記載されていませんが、研究論文を読む限り、MFX-Uシリーズよりもやや劣るくらいかと予想できます。

 

注意
上記の性能イメージは牛血におけるものです。実際は患者さんの血液データ、透析条件等で前後します。特にQB、QS、膜面積により大きく動くものがあります。

 

 

実際の使用感

 

あまり詳しくは控えますが、前述した効果・特徴を踏まえると今のところ「どの膜よりも使いやすい」ですね。

使いやすいというのはTMPが過度に上がらない(Albの過漏出を防ぐ)ので、安全性が保てますし、性能の維持もできるという理由からです。

加えて、TMPが上がりづらいというのはAlb漏出も低く抑えることができるのもいいですね。(これはポアサイズ、膜面積、Qs、QBなどにもよる)

 

逆に使いやすい反面、性能面でいうとMFX-Uなどには負けるのかなと感じです。

※FIX‐Uシリーズは使ったことがないので分からない。

 

最後はあまりまとまりませんでしたが、以上となります。

 

今度は実際のHDFフィルターの選択の仕方について書きたいと思います。

 

 

[参考文献]

1)ファインフラックス®fineflux FIXtm-ecoタイプ.ニプロ配布資料

2)春原隆司.ハイパフォーマンスメンブレン′16.腎と透析Vol.81別冊.東京医学社.2016.13‐15

3)大石竜 衣笠えり子.透析膜update-生体適合性からみた評価法と特性.臨牀透析Vol.32.No5.2016.582‐584

 

 

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