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シャントエコーにおける機能評価の指標、FV・RIとは?

 
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どうもさぼ(@ce_sabo)です。

 

当院では毎月30回以上(年間だと300件以上)シャントエコーを実施しており、僕もシャントエコーを行っています。

 

シャントエコーとは?

という方は是非こちらの記事をご覧ください。

透析におけるシャントエコーとは?簡単に説明してみた。

 

 

今回はシャントエコーで基本となる指標「FV」と「RI」について説明していきます。

 

 

FVとは?

 

FVの定義

 

FVとはFlow  Volumeの略で、「血流量」を表します。

 

FVを測定することで、シャント血管に流れている血液の流量を把握することができます

 

FVの測定は一般的に測定しやすいこと、誤差が少ないことなどの理由で上腕動脈で測定をします。

なので、FVといったら上腕動脈血流量を指す場合が多いです。

 

AVGではグラフトでの測定または上腕動脈での測定を行います。

これはグラフトの材質によってはエコーで写らないものがあるからです。

 

透析で穿刺する部位は静脈ですが、シャントエコーにおけるFV測定では上腕動脈で測定します。

 

 

シャントがない血管では、通常上腕動脈血流量は少ないのですが、

動脈と静脈を吻合するシャントを作ることで上腕動脈血流が大幅に増えるのでFVはかなり増加するとされています。

 

 

FVはなぜ測定するのか?

 

 

FVを測定すると、シャント血管に流れている血流量が把握できると説明しました。

 

なぜFVを測定するのかというと、

狭窄や閉塞などのシャント合併症を予測できるというメリットがあります。

 

FVは個人差がかなりありますが、QB200ml/minをとるためには最低でもFVが350ml/min以上必要とされています。

 

FVを350ml/min以下になり、QBが200ml/min取れなくなった場合、シャント血管のどこかに狭窄があると予想ができます。

 

注意
 血管の分岐や穿刺部によりFVが350ml/min以下でもQB200を脱血可能な場合もあります。

 

 

FVが200ml/min以下だと、ほぼ100%QB200ml/minは脱血できないことがわかりますね。

 

逆にFVが多い場合もあります。

FV1500~2000ml/min以上あるシャント血管は「過剰血流」と呼ばれ、シャント合併症の1つとされます。

 

過剰血流は心負荷になったり、(シャント作成自体が心負荷なのだが)

スティール症候群の原因になったりするので、定期的なシャントエコーが必要になってきます。

 

 

FVの式

 

FVの式を以下の通りです。

 

FV=Vm-mean×area×60

 

Vm-mean:時間積分値の平均血流速度

area:血管断面を正円と仮定したときの血管径により求められた断面積

 

引用:春口洋昭.バスキュラーアクセス超音波テキスト.医歯薬出版株式会社.2013

 

この式のうち、シャントエコーをとる術者の手技に影響されるのは「area」です。

 

いろいろ省略して簡単にいうと、areaは上腕動脈の血管径です。

areaが大きい血管はその分FVが大きくなります。

 

areaを正確に測定するには、短軸で上腕動脈をしっかり正円となるように描出してから、

場所をできるだけずらさずに、長軸像で血管を描出して波形をとるというのが重要となってきます。

 

FVを正確に測定するのはシャントエコーの第一の関門であり、僕もすごく苦戦したことを覚えています。

 

形態評価に時間をかけるために、機能評価であるFV測定をいかに素早く正確にとるのが、術者の腕の見せ所だと思います。

 

 

 

 

RIとは?

 

RIは「Resistance Index」といって日本語に訳すと「血管抵抗指数」といいます。

 

定義づけると

RIとは「末梢の血流の流れにくさを反映する指標」です。

 

AVF造設前のRIはほぼ1.0であり、AVF造設後はシャント血管の発達とともにRIが低下します。

 

そう考えると、シャントは動脈と静脈をつないで、末梢の抵抗を減らし、血流を確保する方法といえますね。

 

シャント造設後はRIが下がる一方で、RIが上がってきた場合はシャント血管の狭窄・閉塞などを予測する指標となります。

 

RIは末梢の血流の流れにくさを示す指標であるのでRIが上がってくるということは、抵抗となる狭くなる場所(狭窄や閉塞)あるということです。

 

 

RIの特徴

 

RIはFVと違ってメリットがあります。

 

・パルス波の入射角度に左右されない

・血管径の計測も必要なし

・血流量と比べて測定値に影響が少ない

などです。

 

 

もちろんデメリットも存在します。

以下のような場合はRIが指標として反映しないので注意が必要です。

 

・測定部より中枢の動脈(たとえば腋窩動脈や鎖骨下動脈)に狭窄や閉塞病変が存在する場合

・人工血管グラフト(AVG)

・上腕動脈高位分岐

 

ですので、RIが指標として使えるのは、

上腕動脈よりも中枢に狭窄がない場合の上腕動脈高位分岐がないAVFに限る

ということになります。

 

RIは少しクセがありますけど、たいていのAVFに当てはまると思います。

 

 

RIの式

 

RIの式はこれです。

 

 

 

記号を見てもなんのことかさっぱりだと思うので

PSVとEDVってなんなのかを簡単に書いてみました。

 

 

上図はシャントエコーのパルスドプラモード(PW)の1拍をトレースしたもののイメージです。

(実際はトレース幅を設定すると波形に上図のような線が自動で引かれる)

 

PSVのPはpeakのPなので、波形の一番最高速度を、EDVはEDはEnd-Diastolicなので拡張期末期

(トレースした波形の最後)を計測して、上記のRIの式に当てはめることで計算しています。

 

うちで使っているもの以外の機器はわからないですが、RIはFVを測定するときに同時に算出されます。

 

 

FVとRIの基準値と各指標の考え方

 

AVFの場合

 

ガイドラインからすると、FVが

500mL/min未満またはベースの血流量より20%以上の減少は狭窄病変が発言している可能性がある

引用:参考文献2)

としています。

 

また、文献3)によると

RIのカットオフ値を0.6とすると、透析時の血流不良例の感度を100%にできるとの報告があります。

 

一方で、参考文献1)では、FV、RIを脱血不良群・脱血良好群にわけてカットオフ値を算出すると、FV=350mL/min、RI=0.68との報告もある。

 

なので個人的にはFV=350mL/min、RI=0.68が目安として妥当ではないかと考えています。

 

ここで注意すべきなのは、FVはあくまでシャント血流量の「指標」であるので、シャント音、スリル、静脈圧などの理学所見、エコーでの形態評価を総合的に判断することです。

 

 

AVGの場合

 

AVGではAVFと基準値が異なります。

 

先ほどのガイドラインでは、AVGの場合、FVは

650mL/min未満またはベースの血流量より20%以上の減少は狭窄病変が発言している可能性がある

引用:参考文献2)

と記載されています。

 

個人的にはAVGのFVに関しては、グラフトの太さ、長さ、種類によってかなり左右されるので、この基準値もあってないようなものだと捉えています。

 

AVGでは、FVが多くても突然「閉塞」するパターンも珍しくありません。

 

経験上、AVGの場合は高頻度で狭窄するAVG出口(グラフトと静脈つなぎ目)をいかに発見するかが狭窄・閉塞の予防になると考えます。

 

そのためにAVGでは静脈圧のモニタリングが大事になってきます。

 

ですので、AVGでもAVF同様、シャントエコーに加えて、理学所見を徹底し、総合的に評価するべきかと考えます。

 

RIは前述した通り、AVGの指標とはなりません。

 

 

まとめ

 

FVとは、Flow  Volumeの略で、「血流量」といい、上腕動脈血流を測ることで間接的にシャントに流れている血流量を知ることができる。

一般的には上腕動脈血流量を指す。

FVの式は、FV=Vm-mean×area×60

areaは術者がいかにきれいに上腕動脈血流の長軸像をきれいに描出するかで決まるので、技術の習得が必要。

FVが減少すると狭窄の指標となる。

FV=350ml/min以下でQB200で脱血不良を指標とするが、施設によって様々。

 

RIとは、Resistance Indexの略で、「血管抵抗指数」といい、シャント血管の流れにくさを反映する。

RIの式は、RI=(PSV-EDV)/PSV

RIが使えるのは上腕動脈よりも中枢に狭窄がない場合の上腕動脈高位分岐がないAVFに限る。

Not AVG!Not 高位分岐!Only AVF!

RIが上昇すると狭窄の指標となる。

RIの基準値は0.68(0.6でもよい)、これもFV同様施設によって様々。

 

 

 

 

 

 

 

 

[参考文献]

1)春口洋昭.バスキュラーアクセス超音波テキスト.医歯薬出版株式会社.2013

2)日本透析医学会.慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作成および修復に関するガイドライン.透析会誌.38(9).2005

3)村上康一他.シャント管理における超音波パルスドップラー法の有用性について.腎と透析55巻別冊アクセス2003.39~43.2003

4)春口洋昭.バスキュラーアクセス診断学.中外医学社.2012

 

 

 

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