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医療系ガイドラインの定義と読むときの注意点

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さぼ
どうもさぼ(@ce_sabo)です。

 

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

今回もかなり久々の更新となってしまいましたが、2020年しょっぱなの記事は臨床家なら読む方が多いであろう医療系のガイドラインの定義と読むべきの注意点をまとめました

今回は付録として、透析CEが読むべきガイドライン系も最後にまとめたので是非ご活用ください

 

ガイドラインの定義

 

ガイドラインの定義は?という問いに対して僕は最適な答えを持ち合わせていなかったので、調べてみました。

(調べるまではガイドラインを「根拠に基づく標準的な治療や最低限満たすべきもの」くらいにしか考えていませんでした…。)

※単に「ガイドライン」と呼ぶことが多いですが、以下は診療ガイドラインの定義です。

 

ガイドラインの定義は2011年に米国医学研究所(Institute of Medicine:IOM)によると、

Clinical Practice Guidelines are statements that include recommendations intended to optimize patient care that are informed by a systematic review of evidence and an assessment of the benefits and harms of alternative care options.

引用1)

2)日本語に訳すと

診療ガイドラインはエビデンスのシステマティック・レビューと複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて患者ケアを最適化するための推奨を含む文書である

引用2)

 

また、Minds(公益財団法人日本医療機能評価機構)の定義では

診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書。

引用3)

 

となっています。

IOMとMindsの定義はほぼ同義となっていますが、共通して言えることは「推奨」を提示している文書であって、「守られなければならない」や「最低限満たすべき」などではないことです。

 

 

更に詳しく知りたい方は下記の参考サイトがオススメです。

参考サイト:ガイドラインとは:国立がん研究センター がん情報サービス 医療従事者向け情報

 

 

ガイドラインのエビデンスレベルと推奨度

 

ガイドラインにはエビデンスレベルと推奨度が明記されています。

※エビデンスレベル・推奨度の段階は各ガイドラインで若干異なる場合があります。

 

例を挙げるとすると、僕がよく読む維持透析ガイドライン4)では

推奨度

1.強い(推奨する)

2. 弱い( 望ましい)

3. グレードなし(妥当である)

エビデンスレベルを

A:高い,B:中等度,C:低い,D:最も低い

として、1Bなど推奨度+エビデンスレベルで表しています。

詳しい解説はエビデンスレベル評価とガイドライン推奨度について5)を読むとよいでしょう。

 

 

ガイドラインを読むときの注意点3つ

 

ガイドラインを元に臨床実践を行っている方も多いのではないでしょうか。

僕なりに注意点を3つ考えてみました。

 

①ガイドラインは絶対でなない

ガイドラインを読むとちゃんとエビデンスがあるし、学会も推奨しているので「これをやれば間違いない」と思ってしまう方もいると思います。

しかし、そう思ってしまう方は注意が必要です。

ガイドラインは定義にある通り「最適と考えられる推奨を示す文書」です。

ガイドライン読んだうえで患者さん個々に合わせて、患者さんが納得する形で治療法等の選択をするべきです。

 

②最新の情報とは限らない

ガイドラインは改訂が数年に一度または一新される場合があります。

ない場合もあります。

例えば今年は2020年ですが、2013年に発行されたガイドラインに記載されている内容をそのまま患者さんに使う。というのはかなり危険だと思いませんか?

医療は常に進化・発展するものです。

7年前のエビデンスはここ数年で変わってしまうということは十分あり得ます。

もしかしたらガイドラインで推奨されていた治療に致命的な問題点があるかもしれません。

ガイドラインを読む際は発行年をしっかりと踏まえることと、そのステートメントの根拠となる情報・文献(参考文献をいれば一目瞭然)の発行年をしっかりと見ましょう

 

③すべての患者さんにあてはまるわけではない

ガイドラインは比較的エビデンスレベルの高いシステマティックレビューやメタアナリシスなどを含めて作られますが、ランダム化、盲検化を行ったとしても数々のバイアスは防ぎきれません。

よくあるのは海外のメガスタディ、システマティックレビューなどから求められた結果から日本人に当てはめようとする場合です。

透析に例えれば、海外の論文で「lowflux-HDとHDFでHDFに有意に○○が改善できた。」としても海外と日本では水質はもちろんのこと、使用しているフィルターの性能が大きく違う場合があり、日本人に当てはまらない場合もあるのです。

これは論文の読み方と通ずるものがありますが、ガイドラインから得られた知見を、目の前の患者さんに実践するの場合、一般化可能性(外的妥当性)があるか、その読んだ論文の対象と適応しようとする患者さんは同等か?をしっかりと吟味する必要があります

 

これら3つの注意点を踏まえどうするべきかというと、やはり常に最新の論文(できれば原著)を読む必要があると思います

ガイドラインを踏まえつつ、最新の論文と比較しながら、患者個々に合わせた臨床実践を考えて欲しいです。

 

おまけ:透析CE必読のガイドライン等

 

透析業務を行っているCE必読のガイドライン等をまとめました。

是非日々の業務にお役立てください。

※慢性維持透析(血液透析)についてです

※等と記載しているのはガイドライン以外の指針もあるということです。

 

〇 透析治療系

維持血液透析ガイドライン:血液透析処方(JSDT2013年)

2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン(JSDT2016年)

慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン (JSDT2012年)

血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン(JSDT2011年)

 

〇 血液浄化器系

血液浄化器(中空糸型)の機能分類2013(JSDT2013年)

特別な機能をもつ血液透析器の特徴と評価法 (JSDT2017年)

血液浄化器の性能評価法2012(JSDT2012年)

 

〇VA系

2011年版 慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン (JSDT2011年)

臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針 初版(JACE2016年)

 

〇水質系

透析液水質基準(JSDT2017年編)

2016年版透析液水質基準達成のための手順書 (JACE2017年)

2011年版 エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)管理基準(JSDT2011年)

2019年版 透析排水基準(JSDT2019年)

 

 

Reference

1)Graham R., Mancher M., Wolman DM., et al. Editors. Committee on Standards for Developing Trustworthy Clinical Practice Guidelines, Board on Health Care Services, Institute of Medicine of the National Academies. Clinical Practice Guidelines We Can Trust(2011). The National Academies Press.

PubMedリンク全文リンク

2)相原守夫.IOMの2つの新基準:『信頼できる診療ガイドライン』と『医療における解決策の模索:システマティック・レビューのための基準』.臨床評価 2013; 41(1): 253-258

3)小島原典子, 中山健夫, 森實敏夫 他 編.Minds 診療ガイドライン作成マニュアルver2.0(2016.03.15).公益財団法人日本医療機能評価機構.
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/guideline/pdf/manual_all_2.0.pdf

4) 日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン:血液透析処方.透析会誌 46(7):587〜632.2013

5)深川 雅史, 塚本雄介, 椿原美治, 海津嘉蔵 他.エビデンスレベル評価とガイドライン推奨度について.透析会誌43(3) : 347-349. 2010

 

 

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