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透析中の下肢挙上と低体温透析の問題点

2018/01/05
 
透析中の下肢挙上と低体温透析の問題点
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どうもさぼです。

 

 

今回はお得意の問題点シリーズ。

 

 

透析中の血圧低下時の対処法についてです。

 

 

少し前に10%NaClについての注意点についても述べました。

透析中の10%NaCl注射液投与の注意点

 

 

血圧を維持することは透析を行う上で1番に優先されるべきだと思います。

 

なぜなら、透析中の過度の血圧低下は予後を悪化させるという報告があるからです。

 

 

医療従事者の方は、血圧を維持する、上昇する方法はいくつかありますが、

これらの方法には必ず問題点が存在することを理解したうえで行ってください。

 

 

注意
この記事はすべてがエビデンスに基づいたものではないので、参考までに読んでいただきたいです。

 

 

 

 

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下肢挙上・低体温透析に共通する問題点は?

 

 

結論から先に言いましょう。

 

 

下肢挙上・低体温透析に共通する問題点は?

それはズバリ、、、

 

 

「末梢循環血流量の減少による透析効率低下の恐れ」

※あくまで「恐れ」です。

 

 

透析効率低下が起こるエビデンスは今のところありません。

 

エビデンスがないというか、現段階では末梢循環低下に伴う透析量の評価方法が見つからないまたは、今の技術では現実的に難しいというのが現状です。

 

確認する方法がないわけです。

 

 

 

BUN除去率はもちろん血中濃度から求めるものですし、

SpKt/Vは体液を本来3つある分画を1つにまとめたものなので、

末梢循環までは反映されていないのでは?と思うのです。

 

そもそもSpKt/VやBUN除去率は血液データから算出するものであって、毛細血管や細胞内などの尿毒素は考えていないのです。

 

 

 

ここまでは推測の話なので、

「なんで下肢挙上・低体温透析は末梢循環を阻害してしまうの?」

という点に着目して説明していきます。

 

 

文献や本を探しましたが、参考になるものはあまりありませんでした。

もちろん僕が探せてないだけかもしれないですが...

 

 

これらの2つの効果や問題点を細かく見ていきましょう。

 

 

 

 

下肢挙上の効果・問題点

 

ではまず効果から。

 

効果

 

下肢血流が体の中心部に多く集まる

心臓に戻る血流量が上昇する

心拍出量の増加

血圧の上昇

 

 

血圧の式はちなみに

血圧=末梢血管抵抗×心拍出量

ですよね。

 

 

下肢挙上することによって、心拍出量が上がり、血圧が上がります

 

 

 

問題点

 

下肢血流が体の中心部に多く集まる。

下肢末梢血流の減少

下肢末梢での血液-細胞間の尿毒素のやりとり(in-out)が低下

下肢末梢血流の拡散効率の低下

下肢血流の透析効率が下がり、トータルの拡散効率の低下に繋がる

 

 

 

 

何度も言いますが、ここまでは推論です。

 

 

ですが、

下肢挙上については、

「透析中に下肢挙上をすると皮膚灌流圧(SPP)が低下する」という研究がありました(エビデンスあり)

 

 

【30度下肢挙上では血圧は上昇する傾向にあるが、3時間後からSPP値は有意に低下した。】

引用:日本透析医学会 抄録アーカイブ水野谷幸代 他.末梢動脈疾患(PAD)を有する透析患者の下肢挙上とSPPの変動.日本透析医学会雑誌.44号.2011

 

 

 

SPPを初めて聞いたという方はこちら↓

皮膚灌流圧(SPP)とは

皮膚微小循環の血流を指標とした灌流圧のこと。

末梢血管領域において、下肢虚血の重症度を評価する検査方法の1つ。

SPPはその名の通り皮膚の灌流圧を測ることで、皮膚レベルの微小循環をみることできる。

 

SPPについて詳しく知りたい方は↓

皮膚組織灌流圧(SPP)検査 – 先端医療講座 – 藤元メディカルシステム

 

SPPは下肢の末梢循環を表す指標で、SPPが低下するということは、

下肢末梢循環が悪くなるのを意味しています。

 

以上より、「透析中に下肢挙上をすると末梢循環が低下する」ということが分かります。

 

 

 

下肢末梢循環が悪くなるからと言って末梢の透析効率が悪くなるということは未だ分からないのですけどね。

 

 

 

 

低体温透析の効果・問題点

 

効果

 

体温が下がると交感神経系が優位に働き、末梢血管が収縮

(血管を収縮させ、熱の放出を抑えようとする)

末梢血管が収縮する

末梢血管抵抗が上昇し、血圧が上がる

(血圧の式より:血圧=末梢血管抵抗×心拍出量)

 

という流れです。

 

※患者さんによって、液温を下げても血圧が上がる人とそうでない人がいます。

これは自律神経系になんらかの問題があるなど原因が考えられます。

 

 

問題点

 

末梢部位(手や足など)の血流量減少

末梢部位での血液-細胞間の尿毒素のやりとり(in-out)が低下

末梢部位(手や足など)の拡散効率の低下

末梢部位(手や足など)の透析効率が下がり、トータルの拡散効率の低下に繋がる

 

 

これについてはネットを探したら研究とは言えない検討のようなレポート(PDF)を見つけました。

(n数が3なので、研究とは言い難い。)

透 析液 温 度 が身 体 に 及 ぼ す影 響 に つ い て〜低 温 ,常温 ,高 温 透析 で 比 較 して 〜

↑のような検討で、

・透析液温を下げることによって、SPPが低下「傾向」になる

透析液温を下げてもKt/Vは変わらない

ということが言えるそうです。

 

 

 

まとめ

 

今回はあくまで僕の推測なので、この2つだけ覚えておいて欲しいです。

 

下肢挙上と低体温透析は血圧上昇効果の作用機序には違いがあれど、

どちらも末梢循環を悪くする。

 

下肢挙上と低体温透析によって、末梢循環が悪くなると、

②透析効率低下の恐れがある(推論)

 

 

 

記事の初めにも言いましたが、

血圧を維持することは透析を行う上で1番に優先されるべきことなので、

医療従事者の方、患者さんは血圧低下時の対処法の問題点を理解したうえで、うまく付き合ってください。

 

 

 

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