どうもさぼ(@ce_sabo)です。
先日このような質問をいただきました。
これには続きがあります。このケースのようにやむを得ず「補液速度を下げる」場合はよいのですが、これが毎回のように続くのであれば、膜を変更したり、透析条件を再検討などの対応が必要となってきます。
— CEさぼ@透析ブログ (@ce_sabo) September 25, 2018
誤字:CEは濾過を少なする
訂正:CEは濾過を少なくする
追加でリプをしている通り、この対応は『一時的な対処』としてはいいと思うんですが、これが毎回起こったりする場合には原因を特定して、それに対する『対応』が必要になってくるんです。
こういうオンラインHDFに関するアラームなどの対応とかはほとんど透析関連の書籍には載ってないので、どうしてTMP上がるのか?透析液圧が下がるのか?などの『物理的な原理』を絡めて、まとめていきたいと思います。
透析CEは分かって当たり前。それこそ透析Nsにも根拠を含めて是非知ってもらいたいです。
長くなりそうなので2回に分けて記事にします。
今回は『なぜオンラインHDFでTMPが上がるのか?』を分かりやすく説明していきます。
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TMP(膜間圧力差)とは
透析を語るうえで切っては離せない『TMP』です。
TMPがあるからこそ、「除水」やHDFなどで行われる「濾過」が行うことができます。
簡単にいうと、血液側と透析液側で圧力差を作って、透析液側に溶液(溶質+溶媒)を引き込むという仕組み・原理です。
これは4点法と呼ばれる方法です。
オンラインHDFを行うことができるコンソールは何社かありますが、TMPを4点法で表示されるものがより正確な値を示すことができます。
A圧をモニタリングできない装置はもちろんTMPは正しい値を示していないと思っていいです。
またTMPの式は3点法もあります。
自分の施設で使っているコンソールは何点法であるのか調べてみてください。
TMP関連ではこちらの記事もよろしくお願いします。
なんでオンラインHDFではTMPが上がるのか?
これが分からないと方法の根拠が分からないと思うので理解しときましょう。
オンラインHDFにおいてTMPが上がる主な原因として『膜の目詰まり』があります。
その膜の目詰まりがなんで起こるかというと「膜にあいている小さな穴にAlbなどの大きな物質が詰まるため」です。
細かく言うと、物質がつまるのではなくて色んなものが集まって、膜にあいている小さな穴にゲルのような『濃度分極層』というのが形成され、透析液装置側に引きたい水部や物質を抜けづらくしてしまう現象です。
【濃度分極層とは】
血液に含まれる蛋白や脂質など濾過されない溶質が、膜表面に垂直な方向に濃度勾配が起こり現れる層。— CEさぼ@透析ブログ (@ce_sabo) August 2, 2018
膜の目詰まりが進むと、今まで引いていた圧力(TMP)では設定した水分量が引けなくなってきます。
装置側では設定した水分量(除水した分+補液した水分量)を引かないといけないので、目詰まりした膜に更に強い圧力をかけて水をひこうとします。
膜に更に強い圧力がかかる=TMPの上昇となるわけです。
↓分かりやすいかな?
【補足説明】
フィルターのファウリングは大きく分けると2段階。1段階目は膜の細孔に蛋白か脂質が塞いでいき「溶質除去量の減少」が起こったとき。やがてそれが安定し、さらにファウリングが進むと今度は圧密化され濃度分極層ができる。それがさらに進むと「TMPの上昇」が起こる。それが2段階目。
— CEさぼ@透析ブログ (@ce_sabo) August 13, 2018
厳密にいうとこんな感じです。
TMPを決める要因
主な原因を述べましたが、TMPの理解はそう簡単ではありません。
またまたTwitterの引用 (笑)
【TMPに影響を与えるもの】
・透析条件側
QB・QD・Qs・フィルター(孔径、膜面、有効長L、中空糸数n、中空糸内径D)
・患者側
Hct、血清蛋白濃度、除水量— CEさぼ@透析ブログ (@ce_sabo) July 17, 2018
CEの腕の見せ所として、これらの要因を踏まえてどのようにして、「安全かつ患者さんに適した透析条件でオンラインHDFをやるのか」だと思っています。
ではでは、今回はこの辺で。
実際の方法は来週更新予定です!
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