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Single pool Kt/Vの注意点

2018/01/05
 
Single pool KtVの注意点
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どうもさぼです。

 

このサイトに

透析効率を上げる方法

という記事があります。

 

この記事のリライト(記事の見直し)しているときに気づいたのですが、

このサイトには

透析量の効率を評価する方法が

 

ない

 

 

ということが判明しました。

 

ということで、

今回は透析量を評価する指標の中でも最も有名な「Single pool Kt/V(以下SpKt/V)」について考察していきます。

 

 

もっとも有名な割に使うには注意が必要ということを言いたいのです。

 

 

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日本で最も有名な透析量の指標「SpKt/V」

 

透析効率を評価する上で、透析量の指標というものが必要です。

 

透析量の指標はたくさんあり、例を挙げると

BUN除去率、Kt/V、TAC BUN、除去量、クリアスペース、クリアスペース率などがあります。

 

 

その中でも、日本透析医学会のガイドラインではSpKt/Vを透析量の指標にすることを推奨しています

 

 

 

 

第­1章 血液透析量(小分子物質)と透析時間

ステートメント

­1.透析量は,尿素の single-pool Kt/Vurea(spKt/V)を用いることを推奨する.

2.透析量は,月 1 回以上の定期的な測定を推奨する.

3.実測透析量として,以下の値を採用する.

­ 1)最低確保すべき透析量として,spKt/V 1.2 を推奨する.(1B)

2)目標透析量としては,spKt/V 1.4 以上が望ましい.(2B)

4.透析時間は,4 時間以上を推奨する.(1B)

補足
*本ステートメントは,週 3 回,1 回 6 時間未満の維持血液透析患者を対象とする.

引用:日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン:血液透析処方 P597

 

 

このようにちゃんとガイドラインに載っていますよね。

 

 

 

Kt/Vとは?

 

そもそもKt/Vって何?っていう人に一応説明しますね。

 

Kt/Vとは簡単に言うと

透析をしてどれだけ体液が浄化されたかをみる指標です。

 

標的物質は「尿素」ということも併せて覚えてくださいね。

 

そのうち

K:クリアランス

T:時間

V:体液量

です。

 

しかし、単純に(K×T)÷Vというわけにはいかず、

あくまでKt/Vというのは概念ということを覚えておいてください。

 

概念的に説明すると、

透析量を上げるにはクリアランスと透析時間を上げればいいということです。

また、V(体液量)で割るので、

体が大きい人はKt/Vが小さくなってしまい、体が小さい人はKt/Vが大きくなります。

 

Kt/Vにも種類があります。

 

Kt/Vには分画のモデルにより3つ(実際は2つ)

 

1compartment(1分画)モデル=Single pool Kt/V(sp Kt/V) ←今回のテーマはこれ!

2compartment(2分画)モデル=equilibrated Kt/V(e Kt/V)

3compartment(3分画)モデル=計算が複雑すぎて算出できず。

 
※Equilibratedとは日本語だと「平衡された」とう意味です。

 

 

 

 

SpKt/Vについて

 

計算式の違いによって、種類が2つあります。

簡単に特徴を比較します。

 

Shinzato (新里)の式:尿素の産生を考慮している。日本透析医学会で推奨している。

Daugirdasの式:尿素の産生を無視。世界的に用いられている。

これら2つの式は近似する←これだけ分かればOK

 

 参考 

Daugirdasの式

Kt/V = −ln( Ce/Cs−0.008・td )+(4−3.5・Ce/Cs)・ΔBW/BW

 

Cs:透析前BUN、Ce :透析後 BUN、td :透析時間 (hr)、

ΔBW :透析中の体重減少量、BW :ドライウェイトあるいは透析後の体重

 

 

ここでは、

日本では新里の式が使われているということと、

新里の式とDaugirdasの式は計算式は違えど、ほぼ同じ値をとる。

 

ということだけ覚えとけばいいです。

 

 

 

 

SpKt/Vの問題点

 

では本題に行きましょう。

SpKt/Vは、細胞内液・組織間液・循環血液を1つの分画にまとめたもの

であり、これだけでもなんかそんな単純にまとめていいの?とか思っちゃいます。

 

ざっと問題点をあげましょう。

 

①SpKt/Vを含め、すべてのKt/Vは体液量の影響を強く受ける

Vが大きい≒体が大きい人だと、Kt/Vが小さく算出される(過小評価の恐れ)

Vが小さい≒体が小さい人だと、Kt/Vが大きく算出される(過大評価の恐れ)

 

まぁこれは当たり前ですよね。

「Kt/Vとは」というとこでも述べました。

 

ガイドラインを詳しく読むとこんなことも載っていました。

 

体格の小さな患者では尿毒素を産生する内臓のサイズが、体格の大きな患者より相対的に大きい。

引用一部改変:日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン:血液透析処方 P598

 

これはイメージするとなんとなくわかると思います。

臓器の大きさが身体の大きさに関係なくほぼ同じとだとしたら、

体格が小さい人は身体に対して臓器が占める割合が大きくなりますよね。

 

 

②性別による違いがある

ガイドラインにしっかり載っています。

 

・女性のほうが単位体液量あたりの尿毒素産生量が多い可能性がある。

・女性のほうが尿毒素への感受性が高い可能性がある。

引用一部改変:日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン:血液透析処方 P598

 

これは意外と知らない方も多いのではないでしょうか。

これにより、男性より女性の方が透析量が必要ということが言えます。

 

③SpKt/Vは尿素(分子量60)のみでしか使えない。

尿素のみ使えるということは小分子物質の透析量の評価しかできないということです。

これが個人的に一番痛い点だと思っています。

理由はこうです。

現行のフィルターでは、昔と比べると尿素のクリアランスが格段によく、どの型でもほぼ同じと考えてよいのではないか。

なので尿素はどのフィルターでも十分除去できると考え、

生命予後に直結するβ2MGや合併症予防に必須となるα1MGの除去を考えるべき。

です。

 

現在、β2MGやα1MGは除去率や前値・後値でしか見れてないので、

β2MGやα1MGの透析量を評価できる指標なんてのがあればいいですよね。

 

 

 

SpKt/Vを使う時の注意点

 

問題点を踏まえながら、SpKt/Vを使う時の注意点をざっくりまとめると、、、

 

・SpKt/Vを見るときは体液量(体格)を考慮する。

・女性は男性よりも多くの透析量が必要であることを覚えておく。

 

問題点③については論点がズレてしまうので注意点から除きました。

 

 

まとめ

 

・日本透析医学会のガイドラインではSpKt/Vを透析量の指標にすることを推奨している。

SpKt/Vは新里の式で計算する。

 

注意点は以下の2つ

・SpKt/Vを見るときは体液量(体格)を考慮する。

・女性は男性よりも多くの透析量が必要であることを覚えておく。

 

 

以上です。

 

 

透析量の指標は用途によって使い分けてくださいね。

 

医療従事者はくれぐれも間違った解釈をしないように!

 

 

 

 

参考文献

①鈴木一之.[特集]適正透析の実際 Clinical Engineering.Vol27.No10.秀潤社. 2016.800-810

日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン:血液透析処方.597-599

 

 

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